Blogブログ

損益分岐点分析①

飯塚式経営改善計画の第3段階、現状分析では、まず自社分析として直近5年間の決算書、税務申告書の推移分析を行います。これにより、過去から現在までの業績の推移が把握できるようになります。

その次に、自社の財務分析と資金繰り分析を行います。

財務分析では、まず、企業経営で重要な損益分岐点分析を行います。これを把握しておくことで、毎月最低どれだけの売上を上げないといけないかが把握できます。

損益分岐点売上高を求める算式はこちらです。

損益分岐点売上高=固定費/(1-変動比率)

固定費という言葉が出てきましたが、損益分岐点売上高を求めるには、決算書のすべての費用項目を固定費と変動費に分ける必要があります。

税務申告に使う決算書では、費用項目を「売上原価」「販売費及び一般管理費」「営業外費用」「特別損失」の4つに分けました。これは、費用が売上高に対して直接対応しているのか、期間的に対応しているのかという観点から分けています。売上原価は売上高に対して直接対応しています。販売費及び一般管理費は売上高に対して期間的に対応しています。営業外費用は売上高に対して期間的に対応していますが、営業活動以外の費用です。特別損失は臨時的、偶発的な費用です。

損益分岐点売上高を求める際に必要な、固定費、変動費という概念は、税務申告用の決算書には出てきません。従って、税務申告用の決算書を固定費、変動費に組み替える必要があります。

固定費とは、売上高の増減に関係なく常に定額で発生する費用を言います。役員報酬、給与手当、法定福利費、地代家賃、減価償却費などが代表例です。

一方、変動費とは、売上高の増減に対応して、増減する費用です。仕入高、外注費、販売手数料などが代表例です。

変動比率は、変動費/売上高で求めます。売上高に対する変動費の割合です。

例)売上高100円、仕入高30円、給与20円、家賃10円、利益40円という会社があったとすると、その場合の損益分岐点売上高はいくらになるでしょうか。

損益分岐点売上高=固定費(給与20円+家賃10円)/{1-変動比率(30%)}
        =42.8円
       
※変動比率=仕入高30円/売上高100円
     =30%

この会社は43円売上れば黒字を維持できるということになります。

検証してみましょう。

まず前提として、原価率は仕入高30円/売上高100円なので30%ということになります。

売上高43円の時の仕入高は、売上高43円×原価率30%で12.9円ということになります。

固定費は、売上高にかかわらず、給与の20円と家賃の10円で固定(一定)です。

売上高43円で黒字を維持できてるでしょうか。

売上高43円-仕入高12.9円-給与20円-家賃10円=利益0.1円

あら不思議!しっかりと黒字が維持できています。

これが損益分岐点分析です。
皆さん、損益分岐点売上高が把握できていたら、会社経営がスムーズにいくと思いませんか?
そこまで分析できてないという経営者の方は是非一度ご相談ください。
税務申告用の決算書だけ持っていても、損益分岐点分析はできません。

ちなみに、この会社は、売上高43円で黒字になるところを100円の売上を上げているわけですから、かなり経営の余裕度があります。この余裕度のことを経営安全率といいます。

経営安全率を求める算式はこちらです。

経営安全率=(売上高-損益分岐点売上高)/売上高

こちらの会社に当てはめると、

経営安全率=(売上高100円-損益分岐点売上高43円)/売上高100円
     =57%

損益分岐点売上高を下げて、経営安全率を上げる経営を目指しましょう。

弊社では、そのようなアドバイスをさせていただきます。

株式会社BPCブレイン
代表取締役/経営コンサルタント 飯塚智治


« 一覧へ戻る